八戸市教育委員会 ―学校図書館支援事業―
実践校である根城小学校の図書館では…
(2017年3月9日取材)
八戸市教育委員会
基本情報
所在地:〒031-8686 青森県八戸市内丸1丁目1番1号
電話 :0178-43-2111
HP : https://www.city.hachinohe.aomori.jp/index.cfm/12,0,42,62,html
八戸市は青森県東南部に位置し、人口23万人、面積241平方キロメートル。平成29年1月1日より中核市に移行、港町と工業都市の2つの性格を併せ持つ。市内には小学校が43校、中学校25校、高等学校18校、特別支援学校3校、高等専門学校1校、大学3校がある。
学校図書館に関わるこれまでの取組
- 文部科学省の指定事業(全国で34地域が指定)(*1)として推進。
平成13年度~平成15年度 学校図書館資源共有型モデル事業
平成16年度~平成18年度 学校図書館資源共有ネットワーク推進事業
平成18年度~平成20年度 学校図書館支援センター推進事業
(*1)本サイトでは岩手県一関市におけるこの指定事業への取組事例が紹介されている。
- 平成20年度から開始した地域密着型教育(市の独自事業)(*2)により、各学校において「図書館ボランティア」の導入が進められている。
(*2)八戸市は、市内全ての小・中学校で「地域密着型教育」に取り組んでいる。地域の力を学校に活かし、子どもたちも地域活動に積極的に参加するという学校・地域・家庭が連携、協働するしくみづくりを目指して活動している。推進母体は地域学校連絡協議会である。この協議会には地域密着型教育コーディネータがおかれ、登録されたボランティアが学校図書館の環境整備などを行っている。
参考
「本のまち 八戸」構想 (平成25年 市長公約)
- 平成26年度~ ブックスタートが始まる。乳幼児に検診時絵本などが入ったブックスタートパックを配布。また、小学生全員に2000円分のブッククーポンを配布するマイブック推進事業を開始した。
- 平成28年度より3歳児保護者を対象とした、”読み聞かせ”キッズブック推進事業を開始。さらに、市民を対象とした八戸ブックセンター(*3)を開設している。
(*3)本サイトでは、八戸ブックセンターを別途取材し、その記事を掲載している。
- 平成28年~ 学校図書館支援事業を開始。
学校図書館支援事業
所管は教育委員会教育指導課。平成28年度はモデル事業として取組み、成果と課題を検証している。以降の学校図書館運営に役立てる。
教育指導課主任指導主事(取材当時)
佐々木 宏恵 様
学校司書
関下 栄利子 様
学校司書派遣指定校
派遣を希望する小中学校は、教育指導課に所定の申請書にて申し込む。学校図書館の運営方針や学校司書との連携などを考慮し、学校司書派遣指定校にするかを決定する。平成28年度は14校から申請があり、10校が指定された。
学校司書
八戸市では学校司書の採用基準として以下を設けている。
- 図書館司書、司書補又は司書教諭の経験がある
- 図書館司書、司書教諭の免許の所有者
- 八戸市学校図書館支援員や協力員として勤務経験がある
平成28年度は3名が採用され、いずれも八戸市の学校図書館に勤務した経験がある。
指定校10校は中学校区をベースとした3グループに分割され、3名で分担して担当している。事前研修を経て、平成28年5月9日から活動を始めた。中学校区を単位に学校司書が活動を行うと、「中学校から小学校の読書教育が分かる」「地域の取組がつながって見える」ので有益だとの意見が多く、工夫された方法だと思う。
学校司書は司書教諭や図書ボランティアと連携して、蔵書管理(図書の現況確認、決められた分類に沿った排架、新刊図書の購入検討や適正な除籍など)や環境整備(掲示物や装飾など)を進めている。また、レファレンスサービスや調べ学習、図書館利用オリエンテーションなどで、先生方の補助も行っている。学校司書の活動の幅が広がることにより「授業支援」に近づいていくことが他の事例で多く見受けられ、「学校司書は重要な専門職」であることが広く理解されることが期待される。
また、市立図書館が行っている研修会に参加し、図書館の運営に係るスキルアップを図っている。学校図書館ボランティア講習会では講師役も務めている。
所属元の教育指導課では月に一度、学校司書の研修会が行われ、課題の共有や改善の検討がされており、学校司書のコミュニケーションの場にもなっている。
司書教諭等
学校図書館運営の計画と評価、図書委員などへの指導を行っている。学校図書館は子どもたちの図書館であると同時に先生方の図書館でもある。先生方が学校図書館に関心を寄せ、活用を図る総参加型の運営が学校図書館の価値を高める。(高度な専門書は公立図書館や八戸ブックセンターを活用することで、参照できる)
関係機関との連携
市立図書館は学校司書の人材育成や図書の貸出(物流を含む)、調べ学習の支援、図書館運営のアドバイスなどを行っている。人材育成では、学校に出向いて研修会(出前講座)を開催。また、市立図書館では学期ごとに配本サービスを行い、学校が市立図書館へ出向いて選書を行う団体貸出サービスなどを行っている。また移動図書館(BM)も学校を含めた市内各所を定期的に巡回している。一方、「図書館を使った調べる学習コンクール」も開催し、子どもたちの探求心を育んでいる。
八戸市総合教育センターでは、学校図書館のネットワークの管理、運営を行っている。学校間での相互貸借はこのネットワークを使用。また、学校図書館支援センター(文科省の指定事業で整備)としての役割も担っており、授業で用いられる図書の貸出がされている。
学校司書が派遣されていない学校の中には、県立図書館による「学校図書館アシスト事業」を活用し、学校図書館の活性化を図っているところもある。
八戸市における子どもと本を巡るさまざまな施策
参考
(資料提供:教育委員会教育指導課)