岩手県 一関市立大東小学校
地域で支える学校図書館
所在地:〒029-0523 一関市大東町摺沢上堺ノ沢70
電話 :0191-75-2234
設立 :平成25年4月1日
(摺沢小学校、渋民小学校、曽慶小学校の 3小学校が統合)
児童数:272名 学級数:14学級 教職員数:24名
読書普及員:1名(平成28年1月22日現在)
教育目標
「学年ごとの冊数目標に向かって取り組む」「読みかけの本がそばにある環境の工夫をする」等、学びフェストの中にも重点目標が示され、学校、家庭、地域が一体となって読書力向上に向けた取り組みが行われている。
←お話をいただいた校長先生(右)と佐藤先生(左)
図書館基本情報
特徴
支える人たち
地元の婦人会(11名)が定期的に読み聞かせの活動を行っている。また、PTA会員による学校図書館ボランティアがあり、図書室の整理や本の修繕等幅広い活動で図書室を支えている。市の教育委員会からは、読書普及員も配属されており、スタッフが充実している。先生方やスタッフの異動等があっても、地域や子供たちとのコミュニケーションが良好に保たれるよう、「人材の継承」が行われている。
資料
蔵書数は12,500冊を超え、文部科学省の標準蔵書数(大東小学校の学級数ではおおよそ8,000冊)をはるかに超える。児童一人あたりでは、45冊である。これは、市の方針により政策的に整備されてきていることによる。
郷土学習用の社会科副読本「わたしたちの一関市」があり、授業で活用されている。定期的に改訂されており、最新の地域情報を掲載している。
図書室や学年専用図書コーナー(図書室の分館的な位置付け)は、おすすめ本が配置され、子どもが手に取りやすい配置となっている。
図書室の環境
図書室の環境は素晴らしい。校舎の中央に配置し、ガラス張りのつくり、間取り、採光など図書室重視の設計が見て取れる。(3年前に移転、統合により新築)。各地で学校統合が進んでいる中、統合にかかわる関係者の視察も多い。閉校になる学校での図書整理(廃棄)や新たな学校での図書の分類、装丁、配架、移転時のさまざまな協力体制等参考となる施設である。
ポップや各種の掲示物等、ボランティアや読書普及員の工夫が随所に窺える。
しくみ、つながり
一関市は岩手県内でもいち早く、読書普及員を配置し図書館ネットワークを整えた。現在、市内の小中学校および公共図書館はネットワークで繋がっており、相互貸借を行っている。システム導入後、年間の読書冊数は平成26年度で対前年比14%増であり、確実に読書率が上がっている。また、授業を行う上でまとまった冊数が必要な場合は相互貸借が極めて役立っているとのことである。
学校数は50校あり、本の相互貸借は宅配便を使用している。財政負担の観点からは費用の抑制を求められているが、一関市は読書力向上に力を入れ、今年度は全ての小中学校に読書普及員を配置した。
図書室紹介
素晴らしい図書室の環境とその活動を支えるさまざまなスタッフ
大東小学校からのお勧め本
No | 図書名 | 著作者 | レコメンド | 主な対象学年 |
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1 | 大きなずかん はたらくじどう車 | 元浦年康 | 教科書と同じように「しごと」と「つくり」が分かりやすく載っていて子供たちが迷わずに調べ学習ができる。 | 1年生(国語) |
2 | さかなはさかな | レオ・レオニ | 優しい色合いの絵とともに主人公の夢が心に広がっている。新しい世界に挑戦する勇気を教えてくれるお話。 | 2年生(国語) |
3 | 昆虫記 | 今森光彦 | 教科書で紹介されていて手に取りやすい。月ごとに見られる昆虫の生態について詳しく載っており、理科の学習に役立つ。 | 3年生(国語・理科) |
4 | のはらのうたⅠ~Ⅴ | 工藤直子 | 国語の教科書「詩を楽しもう」で「のはらのうた」が紹介されているこの本を読むと他のたくさんの”のはらみんな”のすてきな詩に触れることができる。 | 4年生(国語) |
5 | 津波?命を救った 稲むらの火 | 小泉八雲 | 苦労して収穫した稲むらに迷うことなく火をつけ、村人の命を救った主人公の言動から「思いやりの心」「命」「防災」「協力」の大切さを学ぶことができる。 | 5年生(道徳)(防災教育) |
6 | よだかの星 | 宮沢賢治 | 相手を大切にする心を育てることに有効だった。登場人物に感情移入しやすく、劇に活用して学びを深めた。 | 6年生(国語・特活) |
取材後記
子供たちの元気な挨拶が素晴らしい。(ビデオでも幾度か挨拶の声が登場する。)挨拶はコミュニケーションの基本。清々しい刺激を受けた。
取材後に校内掃除の紹介があった。6年生がリーダとなって、1年生までの全学年縦割りでの協力作業。「リーダシップ」「チームワーク」などの教育視点が見て取れる。学校現場の知恵はさすがである。(菅原)