岩手県 釜石市立栗林小学校

学校図書館とPTA活動をつなぐ人とは?

所在地:〒026-0412 釜石市栗林町16-46
電話 :0193-28-2517
設立 :明治10年 4月11日(1877年)
児童数:47名 学級数:4学級 教職員数:13名
学校司書:なし

教育目標

「今、ここに生きる子どもたちを 心も体もたくましく」
 ・よく考えやりぬく子(かしこく)
 ・豊かな心と思いやりのある子(やさしく)
 ・健康で明るい子(たくましく)
髙橋先生(左)、伊藤千鶴子さん(右・地域コーディネーター)
佐々木 由加里さん(中央・PTA図書ボランティア)

図書館基本情報

2016年2月18日現在

特徴

支える人たち「資料」「図書館の環境」

図書室は震災後の校舎修復時に、リニューアル。転任されてきた校長先生の思いもあって、子供たちが利用しやすい図書室環境を整えた。

図書室の配架や掲示物の作成及び読み聞かせ等はPTAの図書担当ボランティアが、選書や読書推進等は先生方が担う。その両者を地域コーディネーターがつなぎ、継続的で一体感のある図書館活動を行っている。

地域コーディネーターは文部科学省の政策であり、栗林小学校では平成26年度より事業化をし、市内の指定地域に配属している。栗林小学校では、地域コーディネーターの伊藤千鶴子さんがPTA図書ボランティアさんと共に活動されている。先生やPTAボランティアはいつの日か異動されるが、地域コーディネーターが継続して学校と地域をつないでいくことが図られ、心強い。

蔵書数はおおよそ6,500冊で、学級文庫も各学級30冊程度配架されているとのことで充実している。大型絵本もあり、「はらぺこあおむし」は絵本からさらに飛び出し、壁一面によじ登っている。実に印象的で力作である。

子供たちのおすすめ本紹介や読み聞かせ、掲示物の作成や図書祭りの開催など全校参加でおこなっているとのこと。やはり小規模校では子供たちにも「全員参加」の一体感がある。また、地域のボランティアさんが10冊を選書されたおすすめ本コーナーもあり、図書室の環境はさらに充実していくものと思われる。(コーナーのユニークなネイミングがあるとよい。)

図書室の片隅にあるダンボール箱の中に興味深い本を見つけた。「故郷の昔話」-遠野物語の中の釜石―との題名であった。昨年、この地の橋野高炉跡及び 関連遺跡がユネスコの世界遺産に登録された。郷土の歴史や文化に関わる資料が図書室にまとめられると特徴があり、郷土教育に熱心な図書室になるのではないか。

図書室には数台のパソコンが設置されているが、システム化はこれから。また、各市町村ですすめている学校司書(読書支援員)の配属(巡回、兼任型)も期待される。

図書室紹介

地域、先生、子供たちが協力して整備し、コンパクトで明るい図書室
図書室に配架された絵本。特に絵本が充実している。
中央に配置されたおすすめ本、10選。地域コーディネーターさんやPTA図書ボランティアさんが中心となって掲示している。
「大型絵本」も揃えている
公共図書館ではよく見かけるが、学校図書館ではあまり見かけない。臨場感あふれる読み聞かせができる。
「はらぺこあおむし」は絵本を飛び出し、図書室の壁をよじ登っていく。
図書室のカウンターは子供たち主体で運営
貸出カードは手づくり。パソコンでの処理はこれから。
(本は整理されているので、パソコン処理への移行は容易。)
故郷の昔話
  -遠野物語の中の釜石―
古文書風の装丁に興味・ワクワク!! 
図書室ろうかに掲示された図書委員のおすすめ本
図書委員は読み聞かせや多読賞表彰、図書祭り等の幅広い活動も行っている。
釜石市の副読本「わたしたちの釜石」
市の副読本(左)と岩手県の副読本(右)

栗林小学校からのお勧め本

No図書名著作者レコメンド主な対象学年
1ちからたろう いまえよしとも 「むかしばなしをたのしもう」で読み聞かせに役立つ。1年生(国語)
2かさこじぞう岩崎 京子昔話を読んで好きなお話を選び、おもしろかったところを紹介カードに書く学習での音読の一冊に効果的。2年生(国語)
3犬とくらす犬と生きる大百科④
人と社会のためにはたらく犬
日本補助犬協会はたらく犬について、知りたいことや知らせたいことを調べるのに便利。3年生(国語)
4ことわざ辞典浜 慎二「ことわざブックをつくろう」で、ことわざの意味調べ、使い方調べで活用できる。4年生(国語)
5グスコーブドリの伝記宮沢 賢治教科書の並行読書で活用できる。5年生(国語)
6やまのいのち立松 和平教科書の並行読書で役立つ。6年生(国語)
No図書名著作者レコメンド
1栗橋再発見H26年度 5・6年生栗林、橋野学区にある25か所の名所・旧跡を見学し、学んだことを写真やイラストを使って一冊の文集にまとめた。
2釜石製鉄の歴史H27年度 5・6年生なぜ橋野鉄鉱山が世界遺産に登録されたのかを「釜石の近代製鉄の歩み」と題してパワーポイントで紹介した。

取材後記

PTAで図書ボランティアをされている川崎圭子さんに活動のきっかけを伺った。震災時に沖縄から来られたボランテアの方から背中をおされ、バトンを渡されたとのこと。読書の心は沖縄から釜石の人たちに託され、そして地域の人たちがこれをしっかりと受け止め、子供たちにつないでいる。間もなく「あの日」から5年がたつ。
この地、釜石・鵜住居(うのすまい)地区で2019年のラグビーワールドカップが開催され、スタジアムの工事が急ピッチで始まっている。五郎丸を見たい、指令塔の田中は?、リーチ・マイケルは?。緑の森、青い海、そして新日鉄釜石の赤。贅沢なプレイシーンのイメージが溢れ出る。待ち遠しい2019年。(菅原)

関連リンク