秋田県能代市立第五小学校

不読率ゼロを目指して、本と児童の距離を縮める

所在地 :〒018-0121 秋田県能代市鰄渕字中嶋古屋布25番地
電話  :0185-58-2178
E-mail :goshou01@shirakami.or.jp
HP   :http://www.shirakami.or.jp/~goshou01/
設立  :明治8年5月24日
児童数 :172名 学級数 8学級
教職員数:21名
学校司書:1名(専任)
(平成28年4月現在)

教育目標

-ふるさとを愛し 心をつなぎ高め合う すこやかな子どもの育成―


◆めざす子ども像 ―夢に向かって Never Give Up
【す】 すすんで学ぶ子ども(やる気)
【こ】 声をかけあいがんばる子ども(根気)
【や】 やさしく強い子ども(勇気)
【か】 からだをきたえる子ども(元気)

また、次の教育研究テーマを掲げ、その実践活動を行っています。

「確かな学力を身に付け、学び合う子どもの育成 -聴く力・話す力・話し合う力を高める指導法の工夫―」

取材に対応いただいた石川校長先生
図書館教育担当)京先生
図書支援員)藤田先生

図書館基本情報

特徴

「不読率0(ゼロ)を目指す」は能代市の統一テーマであり、各学校で読書活動の具体策を作成し、運用されている。また、年度ごとにその活動状況が報告されている。

参考

平成27年度の読書活動(報告)は以下のサイトでご覧いただけます。

能代市子ども読書活動推進計画(能代市教育委員会学校教育課提供)

◆支える人たち

図書館は図書館教育担当の京先生や図書支援員の藤田先生等の先生方と連携する市立図書館、学校図書ボランティア及び施策推進にあたる教育委員会等によって運営されている。

第一として、”読み聞かせ”などの読書活動が上げられる。”読み聞かせ会”は母親委員会や地域の図書ボランティア、先生方により年3回、7月と12月に、図書委員によって年3回行われている。取材当日は、子どもたち同士での”読み聞かせ練習会”を行われていた。子どもたちは相互に練習を重ね、レベルの高い読み聞かせを目指して励んでいる。とにかく元気で一生懸命である。学校ではまた、”昼読書”を毎日1時から15分間行っており、本との出会いを大切にしている。
市教育委員会に図書整理指導員がおり、技術的な支援を仰ぎながら図書ボランティアの方々と一緒の活動も行っている。図書整理指導員に頼るのではなく”支援”をいただきながらも学校の取り組みとして自立した活動を行っている。

第二として学級文庫の存在が挙げられる。

学級文庫は子どもたち一人一人が学校図書館を訪れ、本を自ら選び学級へ配本(図鑑も可)して、みんなへ紹介。また、並行読書も配本されていることで学級本が極めて身近なところにある。このことで学級本の利用率が高く、読書量の増加になっている。また、個人カードを記入して、家庭へ貸出。これとは別ルートである学校図書館からの個人貸出とで”家読”の定着化をすすめている。学級文庫の運営は先生方の支援の下で行われている。

第三としてベテラン図書支援員が専任でいることである。図書支援員の配置は学校図書館における環境整備の柱であり、能代市では今年度、全校配置が整った。第五小学校には昨年度、週四で図書支援員が派遣されていたが、今年度、市内中学からベテラン図書支援員の藤田先生が専任で来られた。校長先生や京先生(図書館担当教諭)は、いつも身近に相談相手である藤田先生がいることに期待をされている。新たな視点で選書や配本、展示などの工夫が加わり、子どもたちへの”より良い図書館つくり”が一層進む。また、藤田先生自身も京先生や教育委員会との関係性も大切にしている。そこには永い人のつながりがある。学校では現在、図書データベースの整備にもあたっており、図書館のIT化も進む。

昨年度は読書まつりを実施し、読書川柳や読書キャラクターの募集、「読書くじ」などのきさまざまなイベントを行った。また、市立図書館との連携で「としょかんスタンプラリー」なども行った。少々遊び心をもって、子どもたちを図書館に誘う取り組みも大切である。

資料

統計データ

(年間)

⑦標準図書数;文部科学省の定めた学校図書館図書標準。3000+520×(学級数-2)

⑪全国学校図書館調査の学校図書館用図書平均単価(平成26年度小学校1775円)

④貸出冊数には図書室から学級本への配本を貸出(1190冊)として加算

(注1)充足率⑧:学校図書館図書標準冊数(文科省)による第五小学校の蔵書数は5080冊であり、実際の蔵書数は6900冊である。能代市教育委員会では蔵書の除籍規準(廃棄)を定めており、適切な資料の購入と廃棄によって充足率の評価がされる。

(注2)読書量⑩:全国学校図書館協会の調べによると、多読月である5月を単月で調査。全国平均11.2冊である。(雑誌やマンガも含む)。第五小学校では学級本の利用が盛んであるが、この分の貸出冊数は不明であるため、記載していない。

図書館リレートーク  ライン・グレー

新聞コーナーには読売こども新聞がおかれ、付箋紙等使って自由にコメントができる。

昨年度は読書まつりの一環で”宇宙コーナー”を企画展示。宇宙を知る夢のある楽しい企画であった。(能代市にはJAXAのロケット実験場がある)

市立図書館常設コーナーは年二回、100冊程度の本を市立図書館から借り受け、展示している。また、図書室から学級文庫への配本もされる。

◆図書室の環境

校舎は秋田杉の作りで、やわらかなデザインが多くとり入れられている。図書室は2階に配置され、大きな窓からいっぱいの陽が差し込む。書棚は統一された大きさで、調べ学習が行えるよう多くのテーブルと椅子が配置されている。掲示物は簡素で全体的にシンプルなつくりとなっている。

午後1時から、各学級で毎日行われる昼読書。ここで使用される本は図書室から貸し出された学級本である。学級文庫は、図書室の大切な分館的役割を担っている。

現在、図書データベースの整備を進めている。蔵書検索から始め、貸出・返却などに利用を広げていく計画である。市立図書館や県立図書館とのインターネット利用も可能となる。

能代五小のお勧め本

授業で活用されている本
No 図書名 著作者 レコメンド 主な対象学年
1おおきくなるっていうことは中川ひろたか入学した一年生を励ますにぴったりの、成長を喜ぶ本です。1年生
2さかなはさかなレオ・レオニ「スイミー」を学習してから紹介した本。同じ作者の本を(子どもたちが)喜んで読みました。2年生
3ココロ屋梨屋 アリエ自分の「こころ」がやっぱりいいと気づかされる本。子どもたちに引っぱりだこでした。3年生
4オットー 戦火をくぐったテディベアトミー・ウンゲラー誰もが平和にくらせる世界を願って書かれた本。「一つの花」を学習してから紹介しました。4年生
5ゴミにすむ魚たち大塚 幸彦「生き物は円柱形」を学習してから、筆者のものの見方、考え方を見つけてみようと紹介した本です。5年生
6チームふたり吉野 万里子部活動を頑張る子どもたちに、スポーツを通して成長する「ふたり」の関わりを読ませたい本です。6年生
学校独自資料(ふるさと教育で使用)
No 図書名 著作者 レコメンド
1世界の宝・雁が渡る能代平野 小友沼畠山 正治ふるさと教育で「小友沼」について調べる時に活用しています。
2仕事の図鑑「仕事の図鑑」編集委員会やりたい将来の仕事について、調べたり探したりするときに使っています。

「この10さつをぜんぶクリアしよう」に1年生~6年生までの必読図書と

課題図書をあげ、子どもたちは読書後”おもしろ度”を5段階で記入できる。

参考

「この10さつをぜんぶクリアしよう」

取材後記

能代市は多くのスポーツ選手を輩出している。少々、時は遡るが体操・日本を世界に押し上げた小野選手。華麗なピッチングフォームのアンダースロー投手・山田選手(現オリックス・バファローズ)、そして俊敏さ・頭脳プレーで日本人初のNBAプロバスケットボール入りした田臥選手(出身は神奈川県)などなど。スポーツ王国・秋田を復活させ、郷土の先輩に続く子供たちが学校のどこかにいるに違いない!!

あの大災害をもたらした東日本大震災の最大余震は平成23年4月7日の真夜中で、筆者は秋田市にいた。震度6強で、久しく停電が続き、翌日も電気がつかないオフィスで不安な一日を過ごしたが、停電は能代火力発電所が一時的に止まったからとのことであった。「東北の電気は一体どこから送られてくるのか」などとは考えてもみたことがなかった。筆者の暮らす太平洋側は原子力も火力も壊滅、損壊で長時間の停電であったが、その時にも能代火力発電所は電気を送り続けた。きっと多くの人たちが、目には見えない電気を必死に守り、送り、被災地を灯してくれた。能代はそのような”エネルギーのまち”でもある。

(菅原)

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