秋田県立大館鳳鳴高等学校
伝統校・鳳鳴は図書館活動で地域との交流を続ける
質実剛健 自律共生 進取飛翔

創立:1898年(明治31年)3月21日 創立117年
所在地:60017-0813 秋田県大館市字金坂後6
電話:0186-42-0002
E-mail:Oodatehoumeikoutougakkou@pref.akita.lg.jp
HP:http//www.homei-h.akita-pref.ed.jp/
・生徒数 698名 全日制課程は普通科(5クラス)と理数科(1クラス)であるが、1年次は同じ科目を学習し(普通・理数科として募集)、2年次より普通科文系(2クラス)、普通科理系(3クラス)、理数科(1クラス)のコースに分かれる。2016年4月より旧大館高等学校より定時制課程を継承。
・スーパーサイエンスハイスクール指定校
教育目標
1.生涯学習の基礎となる自主的、自立的精神の育成
2.生命や人権の尊重、他者との共生
3.積極的、自発的学習態度の育成

校長 立石 隆博 様
学校の役割
グローバル化や情報化などの社会変化に積極的に対応し、地域社会はもとより、我が国や世界が抱える様々な課題の解決を目指し、文化の創造と社会の発展に貢献できる人材を育成する。
目指す生徒像
次代を切り拓く高い志と強い精神力、積極的な行動力をもった鳳鳴生
図書館の特徴

学校図書館を支える人・資料・環境


学校司書の柴田さん(右)
研修部に所属
図書館は、主に教育実習生の受け入れや研究授業の企画を行っている研修部に属している。小川先生は研修部主任、司書教諭の梁川先生(国語担当で3年クラス担任)と学校司書の柴田さん(専任)がおられる。研修部は主に、教育実習生の受け入れや研究授業の企画を行っている部門である。一昨年、図書視聴覚部の改組に伴い、図書部門を研修部に組み入れ、学習支援の強化を進めている。学校司書の柴田さんは、周りの先生たちと協力して資料の整備を進めている。
地域との交流
大館地域は、以前から市立中央図書館と市内の高校が共同で図書館活動を行っている。(秋田県は県の所管である高校と市町村図書館の交流が盛んである。)高校生読み聞かせ会を平成23年度から市立中央図書館で開催しており、今年で6回目。市内3高校(大館鳳鳴高等学校、大館国際情報学院中学校・高等学校、大館桂桜高等学校)の有志が図書館司書や読み聞かせボランティアの方々からの指導を受け、読み聞かせの技法を学びながら、多くの幼稚園児たちを楽しませている。また、ビブリオバトルも盛んで、大館の地域大会(これも市立中央図書館で開催)を勝ち抜くと、県大会と進み、全国大会へと進む。
高校生、一般を対象とした読書感想コンクールも市立中央図書館を会場として開催。平成28年度で第47回を迎えた。鳳鳴高校は最優秀作と優秀作1編を受賞。このように、大館市では高等学校と市立中央図書館が一緒になって地域の住民や先生、生徒たちとの交流を進めている。

(写真提供 大館鳳鳴高等学校)
図書館報
生徒会図書委員会では、定期的に図書館報を発行している。第63号(平成28年2月発行)には、戦後70年関連の記事、特集として恋愛小説を取り上げ、芥川賞の解説や学校長への読書に関わるインタビューを載せている。また、イベントの開催状況も報告している。毎年度、秋田県内の高等学校で学校図書館報のコンクールを行っており、大館鳳鳴高校はこれまで数多くの賞を受賞している。そのような伝統もあり記事のバランスが良く、丁寧に調査して文章を書いている。図書館を知るうえで貴重な資料であり、外部への情報発信にも活用されている。
資料
書架には多くの全集が並ぶ。伝統校であるため寄贈本も多く見受けられる。書棚は7段もの。はしごが用意されている。フロアには新書コーナーや小論文コーナー、入試頻出問題集コーナーなど、多くの蔵書がある。
鳳鳴記念館
図書館は学校の創立100周年(平成9年)を記念して建てられた鳳鳴記念館の中、1Fにある。この記念館は卒業生や教職員の募金等によって建てられたもので、その後、秋田県に寄付され、現在は学校が管理している。設計、デザインには卒業生も関わっており伝統校の歴史の重みを感じさせる。教室等がある校舎からは独立しており、平日9:30~17:55の間、利用可能である。規模の大きな施設であり、小さな公立図書館程度のサイズがある。図書館の前にはロビーがあり、そこには大館市から提供されている新聞が置かれており、多くの生徒が利用している。
図書館からのおすすめ本
No | 図書名 | 著作者 | レコメンド | 主な対象学年 |
---|---|---|---|---|
1 | 蛇と十字架 | 安田喜憲 | 東洋(蛇)と西洋(十字架)の比較文明論 | 全学年 |
2 | 世界で一番いのちの短い国 | 山本敏晴 | 医者である著者のアフリカでの体験記 | 全学年 |
3 | 消えるオス | 陰山大輔 | 昆虫の性を転換させる微生物「ボルバキオ」から生物の世界を知れる本 | 全学年 |
4 | 八日目の蝉 | 角田光代 | 誘拐した女と誘拐された子供のそれぞれの葛藤の話 | 全学年 |
5 | 想像ラジオ | いとうせいこう | 一人の男の不思議なラジオから始まる、行った者と残された者の話 | 全学年 |
よく読まれている本
No | 図書名 | 著作者 | レコメンド |
---|---|---|---|
1 | 異文化理解 | 青木保 | 小論文対策でも良く利用される。 |
2 | 図書館戦争 | 有川浩 | 特に女子に人気がある。 |
図書館のシーンあれこれ

図書館は一階にある












入試で引用されるケースが多い。
取材後記
大館鳳鳴高等学校はスーパーサイエンスハイスクール(以下SSHと記載)の指定校(平成25年度指定)である。SSHの目的を文部科学省は「将来の国際的な科学技術関係人材を育成するため、先進的な理数教育を実施する高等学校等を”スーパーサイエンスハイスクール”として指定し、学習指導要領によらないカリキュラムの開発・実践や課題研究の推進、観察・実験等を通じた体験的・問題解決的な学習等を平成14年度から支援している。」と説明している。
校長先生から2つの報告書を頂いた。研究開発実施報告書(第3年次)と課題研究収録(総合科学Ⅱグループ研究)である。課題研究では物理、化学、生物、数学の各分野で合計7つの研究報告が載っている。
物理ではハニカム構造(正六角形の構造)を取り上げているが、なぜハニカム構造は強いのか、規則正しい形を形成するのかの研究をし、解説している。学年は2年次であるが、感心することしきり。(但し、筆者は内容理解までできていない。)小学校では「調べ学習に重点をおき、学年が上がるにつれて「探求型学習」「体験学習」へと内容を発展させている。高等学校では、この延長に「SSH」という考えがあると理解した。図書館はSSHで利用する図書もそろえており、SSHを進めるに最もふさわしい拠点と思った。