栃木県河内郡 上三川町 (1)
学校間相互の理想的な資料の流れを作り上げた町
(2016年10月27日取材)
理想的な「わがまちの学校図書館運営」の為にトライ・アンド・エラーを繰り返しながらつくりあげた情熱的な学校司書集団
栃木県河内郡上三川町
栃木県南東部にあり宇都宮市・真岡市・下野市に隣接した人口31000人程の町である。かんぴょうやいちご、にら、アスパラガスなどを特産としている。
学校数:小学校7校、中学校3校
学校司書:7名
町での取り組み
「本の里かみのかわ」づくり
町では上三川町第7次総合計画の中で”「本の里かみのかわ」づくり”を掲げている。これは図書館機能の強化や読書のしやすい環境づくりを進めていく事を目的としたものだが、その事業のひとつに、かみのかわ図書ネットワーク運営事業がある。この事業は指定管理者制度を取り入れる前から継続されており、現在の図書ネットワークの基礎はこの時代の試行錯誤のもとにつくられた。その後現在の委託先に運営を委託した後も、トライ・アンド・エラーを繰り返しながら現在の形態へと変革を遂げている。
図書館を使った調べる学習コンクール
図書館を使った調べる学習コンクールは公益財団法人図書館振興財団によって推進されているイベントだ。上三川町では2013年から「図書館を使った調べる学習コンクール」を実施している。学校の自主性を尊重し、参加するかどうかは各学校の判断に一任しているが昨年はほとんどの学校が参加し、盛り上がりを見せている。募集期間は9月の初めから10月の半ばごろとなっており、夏休みを利用して図書館へ通い、作品作りに取り組む子どもがよく見られる。町立図書館では夏休みに、コンクールに生かせるイベントを組むなどもしている。学校へは、過去に開催された全国大会の、優秀作品のレプリカを貸し出している。更に2015年度には町で実施したコンクールにおける優秀作品のレプリカを作り、各学校へ配布した。こうした作品も生徒に意欲を湧かせる方法のひとつだ。
主催:上三川町立図書館 指定管理者 株式会社図書館流通センター
後援:上三川町教育委員会、株式会社下野新聞社、公益財団法人図書館振興財団
上三川町立明治小学校
所在地:〒329-0525 栃木県河内郡上三川町大山524
電話:0285-53-0070
蔵書数:12220冊(2016年9月現在)
たくさんのボランティア
明治小学校の学校図書館は、たくさんのボランティアの協力があって成り立っている。
2016年度は35人ほどが参加しており、読み聞かせ班・図書室整備班(壁面掲示、クラス文庫選定)などに分かれて活躍している。
ポイントゲッター
このイベントは、本を読んだ児童にポイントを付与し、獲得したポイントによって表彰するというものだ。この取り組みは、ある工夫がされている。学年ごとに読んでほしい本を「学年図書」として決めておき、その本を読んだ児童にはポイントを多く付与するというものだ。獲得したポイントが高い児童は図書委員が作った賞状をもらうことができるほか、校内放送で名前を読み上げてもらえるなど、児童の読書意欲を刺激する努力も行っている。
上三川町立明治中学校
所在地: 〒329-0525 栃木県河内郡上三川町大山25
電話: 0285-53-3346
蔵書数:11156冊(2016年9月現在)
郷土資料
役場の総合受付で配布している上三川町のパンフレット等を集めて授業で活用している。
いじめのテーマ展示
3年程前にいじめゼロサミットが明治地区で開催された。これをきっかけに生徒会と学校司書が「いじめ」をテーマとした本の展示を行ったところ、展示本がよく借りられたという。デリケートなテーマではあるが、生徒によく読まれているそうだ。
授業で人権教育に力を入れた結果の表れでは、と先生方は評価している。
テーマ「戦争」でブックトーク
明治中学校では、1年生向けに「戦争」をテーマにした20分のミニブックトークを行った。夏休み直前に入り口の展示コーナーに展示していたが、学校の所蔵冊数だけでは生徒へ提供しきれない事態となることは事前に想定できたため、リストを生徒に渡し図書室になければ図書館に行って見るように促した。
案の定、上三川町立図書館と近隣の下野市立石橋図書館に生徒が来館し借りていったそうだ。
写真展示
入り口に写真の本を置き、文章量の多い本に苦手意識のある子どもでも図書館に入りやすく、なおかつ本を手に取りやすい配慮をしている。
栞と掲示物(明治中図書ボランティア作成)
購入した本に元々はさんである栞をベースに、館内に貼られている掲示物のイラスト等をデコレーションして作られている。
学校司書のいる月曜日に一枚もらうことができる。