東京都 小平市立小平第一中学校
語彙を豊かにして、学力を伸ばす。
(2017年6月27日 取材)
所在地 〒187-0042 東京都小平市仲町506番地
TEL:042-341-0048
E-mail:gakkou@31.kodaira.ed.jp
HP:http://www.kodaira.ed.jp/31kodaira/
設立:昭和22年4月22日
生徒数 474名、通常学級数 14学級、特別支援学級 2学級、教職員数 29名、学校図書館協力員(1名 週3日)
(平成29年7月現在)
教育目標
◆「自主」 自ら考え、自ら学ぶ人
◆「協力」 互いに思いやり、力を合わせる人
◆「健康」 心と体を鍛え、たくましく生きる人
参考
学校長インタビュー
取材に対応いただいた校長
栗林 昭彦 様
(前・清瀬市教育委員会指導課長、本年4月から現職)
小平第一中学校より 金井先生、鳥居先生(学校図書館協力員)
市立仲町図書館より 中山館長、中澤さん、君山さんに同席いただきました。
ネットなどで公開されています学校経営計画では、幾度も「読書」が登場します。その思いをお聞かせください。
【校 長】
学校経営計画では「読書」を「柱」として位置付けしています。具体的には
①学校図書館の活用を授業に取り入れることです。数値目標も示しています。
②仲町図書館との連携をさらに前進させ、読書の量、読書の質を上げることです。
③読書環境をよくすること。本校の学校図書館は2~3年生がいる南校舎からは遠い。このため、ブックトラックを新たに購入し、「移動図書館」的な環境に工夫しました。一例として、修学旅行で行く京都、奈良の関係図書などをおいています。
これらは、以下の二つの考え方によるものです。第一は、学力は学校図書館を活用することで伸ばせるのではないか?ということ。主体的に情報を活用する、人と交換する、自分の考えを深めていくことで学力を伸ばす。第二は語彙の量を豊かにする。学力と語彙量は相関関係にあり、国語や数学、英語なども語彙量に深く関わっているのではないかと考えています。数学が苦手であっても、語彙量があれば学力を伸ばせる。
中学生になると、(小学生と比較すると)読書量が激減しますが、語彙量との関係を、どのように考えればよろしいですか。
【校 長】
読書量の成果と語彙量の関係は、難しい関係ですね。つまり、読書量が増えれば、語彙量が増えないわけではない。一般的に学年が上がれば、語彙量は増えます。成果を仮にAとして、小学から中学に進む段階で、学校図書館との関わりが取り立てて推進されていない場合を100とすると、推進がされた場合120になるような関係です。学校図書館や公共図書館の活用は、そのような学力を向上させる成果が得られることだと考えています。
仲町図書館が近いことが、本校の強みです。例えば、調べ学習を例に上げますと、学校図書館で不足している図書は仲町図書館に行く。グループでの調査では、生徒たちを班分けして、”学校図書館を利用”、”コンピュータを利用”、”仲町図書館を利用”などの多様な調べ方をし、それぞれのケースで発表することのメリットがあります。
市立図書館を最大限、活用する方針ですね。
【校 長】
館長には、申訳ないですがその通りです。(笑)
本校の生徒には、他の学校より「本が好き、良く本を読む」子どもになってほしい。朝読書はきっちり行っており、机の下には本がある。その下地はできています。仲町図書館へ、朝読書用に100冊程度、貸出を要望したいと思ってもいます。
先生方や学校図書館協力員にはどのような期待をお持ちですか。
【校 長】
先生方には、授業での図書館活用を図ってほしいと思います。調べ学習にとどまらず、さまざまな教科で、広く、深くです。
私は、一日一回は学校図書館に行くようにしています。本校の図書室の蔵書は、だいたいは覚えているつもりです。学校図書館には「(関係者の)気持ちが入っている」ことが欠かせません。図書館は人のちから。愛情をもって水をやることが大切です。学校図書館協力員さんは週3日の勤務(注)です。勤務されていない時は図書館ボランティアさんもおられますが、レファレンスなど専門性のある人がフルタイムでいてほしい。フルタイムだと、小平一中の職員としてより一層、授業を一緒に作ることが可能になり、授業の質を上げることにつながります。
学校図書館の活用を身に付けた子どもの学力は底堅いものがあります。行政の後押しを 頂きながら、進めていきたい。やりたいことは山ほどあります。
(注)小平市の学校図書館協力員の勤務は、週3日、5.5時間/1日、105日/年となっている。所属は27名全員、仲町図書館。
【鳥 居】
図書館をより良い環境にしていきたいと思いますし、やれることを精一杯努めてまいります。
【校 長】
これからも(関係各方面の)ご支援をお願いします。
ご協力、ありがとうございました。
学校図書館紹介
学校図書館協力員の鳥居先生、校長先生に学校図書館をご案内頂いた。
図書基本情報
①過去3年の推移
②主な基本データ
⑦標準図書数;文部科学省の定めた学校図書館図書標準。10720+480×(学級数-12)冊
⑪全国学校図書館調査の学校図書館用図書平均単価(平成26年度中学校1823円)
(注1)充足率⑧:学校図書館図書標準冊数(文科省)による小平第一中学校の蔵書数は11200冊で、現在の蔵書数は12369冊である。図書の受入、除籍(廃棄)が適宜、行われていると判断され、適切な充足率と思われる。
(注2)読書量⑩:全国学校図書館協会の調べによると、多読月である5月を単月で調査。全国平均4.2冊である。(雑誌やマンガも含む)。
(注3)年間資料費⑥:全国学校図書館協議会調査資料2015よると、中学校で718千円
取材後記
栗林校長先生は久しく、清瀬市の教育委員会におられ、今年4月に学校現場に復帰した。お話を伺っていると、新鮮である。学校長として、教育への思いを学校経営計画に記し、具体策に取り組む。その中核は「読書」。「図書館をもっと生徒たちに利用してもらいたい。このような企画はどうか、こんな方法もある。仲町図書館を学校図書館の分館にしよう。学校司書さんもフルタイムでお願いしたい。」次々とアイデアが溢れてくる。置かれている環境が一変すると、キラキラと輝きだす「人」がいる。校長先生は輝いていた。
青梅街道筋にある仲町図書館。その反対側の交差点を直進すると、歩いて数分の距離に小平第一中学校がある。仲町図書館は8館ある小平市立図書館で学校連携を包括する学校図書館の総本山でもある。これほどベストな場所はない。通学の途中での本探しに、授業の調べもので、友達との情報交換の場に、さまざまに利用できる施設が、身近にあり、小平第一中学校の学校図書館別館のように利用できる。生徒の皆さん、いつでも分館にいらっしゃい!