感想文の本探し

初心者のための図書館Q&A、今回は「感想文の本探し」についてです。

8月も2週目を迎えました。早いところだと来週で夏休みが終わる学校もあるようです。夏休み後半を迎えると、休みを満喫することに夢中で宿題の存在を忘れてしまい、慌てた様子で図書館に足を運ぶ子が増えてきます。そんな子から聞かれるのは「すぐに読み終わる本はありますか?」というものです。きっと感想文の宿題なのでしょう。

こういう時、私が子どもに本を勧めるときによく聞いていたのは次のようなことです。

  1. 学年は
  2. 好きなジャンルは
  3. 普段どんな本をよむか、直前に読んだ本は
  4. どれくらいの厚い本がいいか
  5. シリーズものがいいか、一冊で完結する本がいいか

これらを聞いてから本探しを行うようにしていました。子ども達は、表紙や挿絵がかっこいいもの、かわいいものだと喜ぶようです。なかなか気に入る本が見つからない場合は、ブックガイドを使うのがおすすめです。NDCの分類番号019は「読書、読書法」とされており、このあたりを「本を調べる本」の配架場所としている図書館が多いと思います。この棚に、ブックガイドが置いてあることもあります。ブックガイドはジャンルごとに本の紹介がされていたり、学年ごとのおすすめ本が掲載されていて便利です。普段はあまり利用されないので、子ども達も見落としがちな資料ですが、感想文の本探しには非常に有益ですから、一緒に行って紹介してあげるといいですね。

利用者検索端末を使って調べるのも有効ですが、子ども達にとって検索は以外と難しいものです。しっかりとタイトルを覚えていなくて探している本が表示されないことがあるようです。タイトルを短くして検索したりすると有効なことがあります。また件名検索、分類番号検索等を使うのは大人でも慣れていないので、子どもと一緒に探してみると良いと思います。

最後に、筆者は子どもから「魔法の本で、長編が読みたい」という希望を受けたことがあります。そのときは、『ハリー・ポッターシリーズ』や『ハウルの動く城シリーズ』を勧めてみました。ですが、その子は本が大好きでどれも読んだことがあるそうで、他の本を探すことになりました。そのときに使ったのが『キラキラ読書クラブ』というタイトルの本です。分厚い本で、細かくジャンル分けされて本が紹介されています。魔法の項目を探すと、複数本が掲載されていて、その子に該当ページを見せてみたところ、知らないタイトルの本がいくつか並んでいたようです。「こんなのもあるんだ!」と嬉しそうにしていて、たくさん借りようとしていました。ですが、「重くなっちゃうからダメ」とお母さんになだめられ、数冊に収め、ニコニコしながら帰っていきました。その子が見せてくれた笑顔は今でも私の宝物です。このコラムを読んで下さった図書館員の皆さまにもそんな宝物が増えるように祈っております。

あとがき

読書感想文の本に限らず、図書館員にとって利用者とのコミュニケーションが大切だと思います。利用者がカウンターに来ない場合は、フロアで声をかけると質 問されることが多いです。どのように聞いたらいいのかわからないことも多いので、利用者の言ったことを繰り返すことによって話しが進むことがあります。積極的な聞き上手になれるよう、普段から鍛えておくと良いかもしれません。