目的に合わせた閲覧席を

初心者のための図書館Q&A、今回は「閲覧席」についてです。

夏休みも終盤に差し掛かると、公立図書館では、休み明けのテスト勉強に励む学生や生徒で閲覧席がいっぱいになります。程よく空調が効いていて、なおかつ静かで調べ物資料が豊富にある図書館は、快適な環境なんでしょう。

最近の公立図書館は年齢別にいくつかのコーナーに分かれています。例えば大人向けの一般書コーナー、幼児向け、小学生、中学生向けの児童書コーナー、主に高校生を対象としたteensコーナー、高齢者コーナー等があります。また、調べるツールを集めたレファレンスコーナー、調べ学習コーナー等があり、適切にコーナーを選ばないと目的の本を探すことができません。また、児童書、地域資料、一般書等はサービスするフロアが違うことがあります。

夏休みにお子さんがお母さんの手を引きながら、図書館カウンターに小学校の理科の教科書を持ってきて「掲載されていた生物について調べる宿題が出たけれど、学校の資料だけだと分からないので、何か本はありませんか」と聞いてきました。「小学校の宿題なのに、どうして一般書フロアにきたんだろう?」と思いましたが、どうやら児童コーナーでレファレンス・サービスを受けたものの、欲しい資料が見つからず、一般書のフロアにあるレファレンスカウンターを案内されたようです。

蔵書を調べてみたものの、やはり子ども向けの資料では調べたい生物についての詳しい資料が見つけられませんでした。そこで一般書や閉架書庫の資料を探して確認すると、その生物の記述がある本が数冊見つかりました。やはり、記述や内容も難しく、小学生が見てすぐに理解できそうにもありません。とりあえず資料を何冊かを渡して、カウンター近くの閲覧席で落ち着いて資料を見てもらうことにしました。一般書フロアの閲覧席なので大人や学生がたくさんいましたが、その子は難しいところはお母さんに聞きつつ、一生懸命本を見たり、メモをとったりしていました。しばらくすると、宿題に使えそうな部分を探し当てた様子で、顔をほころばせながらカウンターへ戻ってきて、提供した本を何冊か借りて帰っていきました。

子どもだからといって児童書だけが役に立つとは限りません。一般書でも目的や使い方に応じて、案内することもあります。反対に、児童書や絵本でも大人の方に案内したり閲覧してもらうこともあります。そのときその場に応じた図書館の使い方ができるように、図書館員は忘れないようにしたいですね。

あとがき

貸出返却、レファレンス…多忙な中で席を適切に管理・案内するのは大変なことと思います。夏休みが終わるまで、もうひといき。気を引き締めて業務に当たりたいですね。