蔵書点検とは
初心者のための図書館Q&A、今回は「蔵書点検」についてです。
所蔵データ上は在庫(在架)になっているのに所定の書架に探している本がなく、困ったことはありませんか?こうなると通常の図書館業務のなかではなかなか見つけられません。こういったことを少しでも減らすために、年1回ぐらいの頻度で図書館では蔵書点検が行われます。
蔵書点検とは、図書館の蔵書がきちんと館内にあるか、日本十進分類法などに基づき正しい配列が成されているか、破損している図書や内容が古すぎて蔵書とするにはふさわしくない図書がないかなど、図書館の蔵書の正しい所在や蔵書の現況を確かめる作業です。
図書が書架からなくなる原因はさまざまです。例えば意図せずにうっかり違う棚に配架してしまう、書棚の裏側に落ちて見えなくなってしまうなど館内で迷子になってしまうことがあります。このほか、利用者が貸出手続きを忘れて外へ持ち出してしまうこともあります。
蔵書点検の作業は、館内の本一冊一冊を所蔵データと照らし合わせ、所在状況が一致するかを確かめます。一致しないものについては、館内を探すことになります。この一連の作業を行う間、図書館は休館となります。限られた時間の中で作業を終わらせる必要があるため、事前に書架の整理、館内の整理整頓をしておいて、点検しやすい環境を整えておくことも大切です。
蔵書点検は本を書棚から引き出しては戻しという作業の繰り返しです。長時間腕を上げて、何度も同じ動きをするので、上半身が凝る方が多いのではないでしょうか。バーコードの位置を手前側に貼付する等の工夫をして、少しでも効率的に点検を行いたいですね。
あとがき
ところで、蔵書点検は「曝書」ということもあります。曝書とは、「書物を広げて、風にさらしたり、虫干ししたりすること」であり、昔の図書館ではこうした 作業を行いながら図書の所蔵を確認したそうです。現在は虫干しの作業を行う館はほとんどありませんが、この名残で、「蔵書点検」のことを「曝書」ということがあります。