ライブラリーフレンズ四日市の活動紹介

四日市市は2028年完成予定で図書館が新しくなります。私自身、幼いころから図書館をよく利用してきましたし、本の虫でした。「こうだったらいいのに」「こういうのがあったら良いのに」ということを現図書館に対してしばしば思います。

図書館は私たち市民が利用する公共施設ですから、「こういう図書館にしたい」と自分たちで主体的に考える必要があると思っています。私の主観ですが、公共施設はある日、突然出来上がっているという感があります。通りすがりに建設現場を見て「あれ?何ができるんだろ?」と思っていたら、「完成しましたので使ってくださいね」と行政からお知らせがあるという感じです。

しかし、「その施設、本当に市民が必要としているのだろうか?」もしそうだとしたら、「市民にとって本当に必要な機能は備えられているのだろうか?」。そのようなことを尋ねられもせず、ある日、完成しています。市民側からすると、何も考えなくても新しい施設が作られて、楽で便利なのかもしれません。でも、多くは「これがあったらよかったのに」「こうしてほしかったのに」と後から意見が出てきます。そもそも尋ねられもしないのですから意見を述べる機会すらないというのが現状です。市民の税金で建てられる公共施設に、市民が意見を出せない、自分たちで考えられないということに疑問を持っていました。

2018年秋に「新図書館建設候補予定地選定」という新聞記事を見たとき「これだ!」と思いました。「新図書館づくり」、これまで考えてきたことを実行できるチャンスだと考えたのです。「サービスを提供する行政」と「サービスを受ける市民」という構図の脱却を図りたい。この構図でいるかぎり、「そういうものだ」と思考停止状態に陥り続け、民度は上がりません。三重県は学力が全国最下位というのが続いていた時期でもありました。「教育は国家百年の計」と言われます。市民自ら考え、図書館づくりに携わり、市民にとって本当に必要な学びや体験、知に触れられる機会を得られる図書館にしていくことで、市民が主体的になり、民度の向上を図りたいと考えていたのです。新図書館建設はこの構図の脱却を図る絶好の機会だと思いました。

そこで、知人を介して市長にアポを取り、新図書館づくりに参加したい旨、伝えました。しかし「今の状態では、貴女個人の一意見でしかありません。行政は一市民の意見では動けません。声が多い程、動きやすくなります。市民団体を作り、しかるべき時までに実績を積んでください。そうすれば行政から声がかけやすくなります」と言われました。

早速、仲間を募り2018年11月に「四日市の図書館を考える会『ささって』」という市民団体を立ち上げました。その時点で、図書館が新しくなることを知らない市民の方は本当に多かったです。そのため、まずは新図書館ができることを広く市民に知っていただく活動をしなければならないと思い、「あったらいいなこんな図書館イベント」を実施。このイベントをシリーズ化し、繰り返し行い、どんな図書館にしたいかを市民の皆さんと話し合いました。そしてイベントで出たアイデア、意見を市長に届けるという活動を続けています。メディアにも何度か取り上げていただき、今現在は新しくなることを知っている市民の方が増えてきました。

第1回「あったらいいなこんな図書館」イベント 2019/10/5
第1回市長提言 2020/1/24
第1回市長提言 様子
中日新聞掲載

その後、同じく新図書館をよりよいものにしたいと思って活動されている他団体と繋がり、2022年5月から「ライブラリーフレンズ四日市」名称で活動。また昨年から三重大学、皇學館大學の図書館に精通した先生方に企画協力・会運営のアドバイザーとして関わっていただいたり、元四日市大学の先生で現NPO法人市民社会研究所の代表理事の方にも行政への提言についてアドバイザーとして関わっていただいております。

「あったらいいなこんな図書館イベント」をシリーズ化して実施すると共に、学校や商店街、市立図書館の職員の方々とのコラボイベントなども実施しています。今までにはない斬新なアイデアを持った人や図書館が大好きという方もいらっしゃれば、「図書館はいらない」「新しくなっても行かない」という方もいらっしゃいます。市民が図書館について多様な意見を出せる場としても「あったらいいなこんな図書館イベント」は活用されています。

第4 回「あったらいいなこんな図書館」イベント
「らいぶらりぃとーく」イベントi n 第一学院高等学校

図書館が必要だと思う人も思わない人も関係なく、市民の税金で新図書館が建設されることが決まっています。思わない人の理由をお聞きすることでそのアイデアをも包括した新図書館づくりができます。必要ないと思っていた人も思わず足を運んでしまうような市民みんなに愛される新図書館にするためには、市民のアイデアを新図書館に反映させることが大切です。私たちの会は、市民側から「要望」を出すことが目的ではありません。市民と行政が協働しながら「より良い図書館」をつくることが目的です。来年は、りぶしるさんの協力を得て、行政、図書館、市民が一体となった「図書館フォーラム」を開催したいと考えており、今現在、市に打診している最中です。新図書館が完成した暁には、当会は継続的に市民が集まる図書館になるよう、イベントやワークショップを提供し、関わり続けていく予定です。

2023年8月15日
ライブラリーフレンズ四日市 代表 日下由紀子