見計らいとは

初心者のための図書館Q&A、今回は「見計らい」についてです。

図書館に勤務して間もない方にとって、「見計らい」というのは聞きなれない言葉だと思います。図書館用語集によれば、『書店が図書館の収集目的や個人の興味対象をみはからって、注文を待たずに持ち込む図書。』とあります。このことが、現物選書が「見計らい」と言われる所以でしょう。見計らいには、次のような利点があります。

  1. 膨大な新刊書からある程度絞って持ち込まれるため、選書が行いやすい
  2. 図書を一件ずつ注文する手間が省ける
  3. 新刊書が注文するよりも速やかに受入できる
  4. 本そのものを手に取って確認することができる

このようなことから、図書館の選書業務の一つと捉えるのが良いでしょう。
見計らいはリストの選書よりもメリットが多いのですが、予算が少ない図書館では持ち込まれる図書も少なくなりますので、選書はいろいろと方法を組み合わせて行うことも必要です。

一人の考えのみに偏った選書内容となることを避けるためにも、選書業務は複数で行うのが望ましいと考えられます。様々な分野に見識が深く、経験豊富な図書館員でも選書に迷いが生じることがあります。様々な視点や観点から選ばれた本は、より良いサービス向上に貢献してくれることでしょう。知恵を出し合うことが大切ですね。

あとがき

筆者の経験では、毎週図書館に届く見計らい本を職員二人で確認し「この本は自館のニーズに合っている」「この一般書は一見借りられなさそうだが、ヤングアダルトの書架に置けば動きがあるかもしれない」などと、本についてあれこれと会話をしながら、購入するか返品するかを決めていました。新刊書の内容をいち早く確認することができるのは、図書館司書の特権ですね。

図書館の中には、頼れる人が周りにおらず、一人でがんばっている司書さんもいらっしゃると思います。FJASはそんな、一人でがんばっている司書さんのサポートも今後検討していきたいと考えています。

(参考文献:『図書館用語集 三訂版』 編集:日本図書館協会用語委員会)