神代浩氏

現代版「学校図書館の手引」を

文部科学省科学技術・学術総括官兼政策課長。
文部科学省生涯学習政策局社会教育課長在任中に住民の課題解決支援を積極的に推進する有志のネットワーク、図書館海援隊を設立されました。 今回は、「学校図書館の手引き」について詳しくお話しいただきます。

神代 浩 氏(かみよ ひろし)

1962年大阪市生まれ。文部科学省科学技術・学術総括官兼政策課長。1986年東京大学法学部卒、文部省(当時)入省。2009~2010年文部科学省生涯学習政策局社会教育課長。
在任中に住民の課題解決支援を積極的に推進する有志のネットワーク、図書館海援隊を立ち上げる。
その後国立教育政策研究所教育課程研究センター長、初等中等教育局国際教育課長、文化庁文化財部伝統文化課長を経て、現在科学技術・学術総括官兼政策課長。2014年6月よりビジネス支援図書館推進協議会理事。
同年10月『困ったときには図書館へ~図書館海援隊の挑戦~』(悠光堂)を刊行。共著に『困った時には図書館へ2 学校図書館の挑戦と可能性』(悠光堂2015年)などがある。

学校図書館を図書館らしく

私はかつて公共図書館を担当する社会教育課長を務め、その時期に志ある図書館・図書館員のネットワークを立ち上げた。リレートークの初回に登場する山崎博樹さんにも参加いただいている。

彼らの多くは志ある学校図書館の司書や司書教諭ともつながりがあった。例えば、前々回に登場する中山美由紀さん。自然と彼女や仲間たちと話す機会も増えていった。

戦後日本の学校に学校図書館が設置され、決して平坦ではない道のりをたどって今日に至るまでの間に、彼女たちが訴え続けてきたことを一言で集約すれば、「学校図書館を図書館らしくしてほしい」ということだと思う。

「学校図書館の手引」の再発見

中山さんを始めとする学校図書館関係者の思いと私の学校図書館に対する問題意識を1冊の本にまとめたのが「困ったときには図書館へ2 学校図書館の挑戦と可能性」(悠光堂)である。

この本を書き始めるにあたって過去の資料をあれこれ探すうちに発見したのが、旧文部省が各界の協力を得て出版した「学校図書館の手引」である。

(参考)国立国会図書館デジタルコレクション「学校図書館の手引き」

ここには、戦後の教育改革の中で学校図書館が果たすべき役割が明確に示されているだけでなく、各学校で学校図書館を整備する上で参考になるような具体的かつ実践的なノウハウがふんだんに盛り込まれている。

この手引を通じて私たちは、学校の中に「図書室」でなく名実ともに「図書館」を創ろうと奮闘された志ある人々とつながることができるのである。

現代版「学校図書館の手引」を

今年10月に学校図書館の整備充実に関する調査研究協力者会議(座長:堀川照代青山学院女子短期大学教授)がまとめた報告の中でも、「文部科学省においては、学校図書館担当指導主事や司書教諭、学校司書等がその職務を担う際に参考となるよう、過去に文部省(当時)が作成したいわゆる「学校図書館の手引」について、今日までの学校図書館に関する諸施策及び学校教育の状況等を踏まえて新たに作成することが必要である。」との提言が盛り込まれている(以下のURLの24ページ)。

(参考)「これからの学校図書館の整備充実について(報告)」

今後新たな手引作成に向けた動きが早急に具体化することを期待するとともに、学校図書館を図書館らしくすべく、引き続き私も微力ながら応援していくつもりである。

(関連動画)図書館総合展2016フォーラム 元気な学校図書館実践報告/基調講演:神代浩様

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