白河市長・教育長インタビュー(2)

星 教育長インタビュー

白河市教育長 星 浩次 氏

【略歴】
・昭和28年(西暦1953年)2月13日生。
・東北大学教育学部卒業(昭和51年3月)後、福島県公立学校教員。
・福島県立須賀川養護学校長、福島県立福島南(福島中央)高等学校長、福島県立磐城高等学校長などを歴任。
・平成27年8月1日に白河市教育委員会教育長に就任。

(中央)教育長 星 浩次 様
(左)学校教育課 課長 高橋 顕 様
(右)学校教育課 指導主事 山田 淳市 様
※役職は取材当時

今回、学校図書館への取組について市立図書館よりご紹介いただきました。よろしくお願い致します。

【教育長】

先ほど、市長からも説明があったかと思いますが、少々お話ししたいと思います。市長はこの分野に理解が深く、常々と子どもたちの読書は大切であることを述べています。読書環境が整備されることは素晴らしいことです。

学校において読書環境を整備することは、今までのスタッフ配置では難しいと思います。司書教諭はおりますけれど、授業時間が減じられているわけでもありませんし、学級の担任もされています。その中で「読書」への誘いもしなければならない。図書の整備などはどこの学校でもボランティアにお手伝いをいただいているのが実情です。そこで当市では、学校図書館を計画的に整備する方向に動き出しました。書架を整備し、図書を分類、読書スペースを確保し、プラス専門職の学校司書を配置して、進めています。小学校は平成29年度で全校の配置を終え、中学校への配置をはじめますし、平成31年度には全校、配置が完了する計画です。

学校司書を配置することで、先生方や子どもたちにどのような効果があると思われますか。

【教育長】

先生方の多忙感が軽減されると思います。読書教育は片手間ではできません。

「学力向上」は皆さんが飛びつきやすいテーマですが、読書をして思考力を高める、演劇を観たり、音楽を聴いたりして、再度、思考力を研ぎ澄ませてみたりして想像力を高める-目に見えないけれども重要なことです。そのための環境づくりを進めています。小学校の時に読んだ本は一生忘れない。小学校の低学年は絵本や図鑑、高学年になると自我の目覚めで偉人伝など、そして中学になると歴史書や哲学書などをかじり、そして高校・大学、社会人となっていくわけですが、それぞれの年代にあった読み方を覚えることが大切だと思います。もちろん家庭に本が沢山あって、新聞もおいてあることが望ましいのですが、せめて学校の読書環境を良くして、子どもたちの想像力を高めたいと考えています。

市長と教育長の考えが全く同じで、一貫性を感じます。

【教育長】

私は高校で国語の教員をしておりました。「読書力」は「国語力」です。読書量の多い子どもはセンスがいい。私は市長と全く同じ考えです。

【学校教育課長】

新たな市立図書館が平成23年度に開館したことが契機となって図書に対するこのような考えが共有され、施策が進んだと思います。

【教育長】

ハコモノはある程度進みました。あとは中身です。小野田小学校ではビブリオバトルを始めていますが、良い取り組みです。

市長へのインタビューの際に、伊万里市民図書館のお話をされていました。他の自治体と情報交換などをされているのでしょうか?

【教育長】

図書館長が多くの情報を持っていますし、ネットワークも広いので助かっています。

【学校教育課長】

当市では学校司書の配置にあたって、南相馬市を訪問して情報提供を頂きました。司書の配置方法や学校訪問の仕方など、参考とさせて頂いております。

学校司書の所属ですが、白河市では学校教育課ではなく、市立図書館所属としていらっしゃいますね。

【教育長】

市立図書館であっても学校図書館であっても、求められることは同じです。また、市立図書館から学校に貸し出しができるため、あらゆる本を学校で揃えなくても構いませんし、相互貸借もできる。私は良い方法と思っています。市立図書館も経験を重ねて、人材として熟成していくでしょうから、学校司書との機能的な良い役割、関係となっていくことと思います。図書館を市長部局が担当する自治体もある中で、行政は今「これは市長部局」「これは教育委員会」など言っている状況ではありません。市民の立場で考えるべきことです。

更に、学校図書館は地域にどのように開放していくかとの課題もあります。 学校図書館は市立図書館とつながっているわけですから、地域で学校図書館も活用できますし、学校は地域コミュニティの場としての役割もあります。

情報化社会にある今般において、子ども達には主体的な人に育ってほしいと思います。

本日は、ありがとうございました。

取材後記

東北に生まれ育った者にとって、あまりうれしくない言葉に「白河以北一山百文」がある。時に、「東北・みちのく」をさげすむありがたくない言葉であるが、「みちのく」は長い歴史の中で地政学上、ここ白河から始まる。今回、取材を通じてネガティブなこの考えを一旦、改めようと思った。市長を始め、教育長、校長、図書館の館長などが、熱心に子どもの育成を考え、行動している。未来の白河の子どもたちのことを大切に思っている。市長はじめ、皆さんが「五感を生かし、感性のあるバランスのとれた子ども」がいつしか、世界に羽ばたくこと、白河の地域を支える大人に育っていくことを願っている。歴史は歴史と受け止め、未来を切り拓く子どもたちが育ってくことに「みちのくの未来」を見たように思う。

(菅原)