能代市教育委員会 ―読書教育施策―
不読率ゼロを掲げ、読書活動を推進する
所在地 :〒018-3192 秋田県能代市二ツ井町字上台1番地1
電話 :0185-73-5178
E-mail :kyouiku@city.noshiro.akita.jp
HP :http://www.city.noshiro.akita.jp/g.html?seq=635
能代市教育委員会
参考
◇能代市の教育方針:能代市教育等の振興に関する施策の大綱
教育委員会事務局は3課、1事務所体制。市立図書館は生涯学習・スポーツ振興課が、小中学校は学校教育課が所管している。市内には、市立図書館のほかに、公民館図書室1館があり、小学校は12校、中学校7校、高校5校、特別支援学校1校である。
取材には生涯学習・スポーツ振興課生涯学習係主査の門脇さんと学校教育課指導主事の矢田部さんに対応いただいた。門脇さん(写真 左)は市立図書館に勤務経験があり、矢田部さん(写真 右)は教員出身である。

インタビュー
(敬称 略)
市の読書教育についての施策をお聞かせください。
【門脇】
市ではこれまでの読書教育を踏まえ、「能代市子ども読書活動推進計画」を策定し、平成27年度から事業を開始しています。事業は5か年計画で、3年目には中間的な評価を予定しています。「不読率0(ゼロ)」を目標として掲げ、乳幼児から高校生までの幅広い年齢層を対象としています。計画策定にあたっては学校教育課や市立図書館等の関係部門も加わり、検討委員会で協議を重ね、またさまざまな有識者の方からもご意見をいただきました。この推進計画は、市の広報誌にて広く市民に紹介をしています。また、インターネットでも公開をしています。
参考
「能代市子ども読書推進計画」の中で、重点を上げるとすればどの点ですか。
【門脇】
「家読(うちどく)」の推進にあります。昨年度から市内の小中学校全校の協力を得て、「家読ノート」の配布・活用等に取り組んでいますが、(家庭への周知や取り組みは)難しい分野です。
予算化はどのようにすすめられましたか。
【門脇】
「能代市子ども読書推進計画」の協議を進める中で、策定委員の方々からも具体的な事業を検討していただきながら進めました。
学校司書(図書支援員)の配置や構成はどのような状況ですか。
【矢田部】
今年度で全校配置を完了し、16名となっています。小中学校19校で小規模校は兼任です。10年の経験をもつベテラン図書支援員(能代市は以前から単独で図書支援員を置いていた学校がある。)から新人(今年採用)が5名、8名が中堅です。今年度から、ベテラン図書支援員の人事ローテーションも始めました。新たな赴任先の学校でこれまでの経験を活かし、図書館のよりよい環境つくりに活躍されることを期待しています。また、ローテーションで図書支援員同志のコミュニケーションが図られ、情報共有も進むと考えています。
学校司書(図書支援員)の研修はどのようになっていますか。
【矢田部】
年2回実施しています。5月は司書教諭(図書館担当教諭)、図書支援員合同の研修会で、今年はPOP作り講座を開催しました。夏休みは2日間にわたって、図書支援員向けの実務研修を開催しています。昨年度は秋田県立図書館から講師を派遣頂きましたが、今年は自前で実施しています。選書や廃棄、効果的な展示の仕方などを学んでスキルアップを図っています。「来年度は是非、うちの学校で開催してください」との要望もあり、なかなか好評です。また、研修を行う中で、支援員さん同志のコミュニケーションも図られ、人間関係の輪ができています。
学校司書(図書支援員)は(学校で一人働くことが多いため)孤独な方が多いです。教育委員会に相談にのってくれる方がいるのは、大変ありがたいことです。これからもよろしくお願いします。
小中学校での読書活動をお聞かせください。
【矢田部】
共通テーマである「不読率0(ゼロ)」を踏まえて、全校でそれぞれ実施の具体化をはかって、計画的にすすめています。また、年度ごとにその活動状況をA4一枚にまとめて教育委員会にも報告頂いています。必要であれば、全校分(事務局に)提供可能です。
(五小の報告書を見せていただきました。)貴重な資料です。是非、提供をお願いします。
参考
提供頂いた活動報告書は以下からご覧いただけます。(全校記載されています、是非ご覧下さい)
小中学校での資料費はどのような状況ですか。
【矢田部】
市長の”学校図書充足率100パーセント”(文科省の学校図書館図書標準)の方針が示されていることもあり、平成26年度から急速に整備がすすんでいます。予算化は優先確保される恵まれた状況にあります。また、学校教育課で図書の除籍規準も定め、適切な充足率を維持しながら、図書の充実に努めています。
参考
能代市各小・中学校所蔵資料除籍規準は、以下からご覧いただけます。
最後に「能代市子ども読書推進計画」事業の評価はどのように行う計画ですか。
【門 脇】
不読率の調査は、県で実施する学習状況の調査結果を使用します。市教育委員会では、”本を読むことが好きなった””心にのこった本があった”などの割合を小・中・高等学校へのアンケートによる調査を行う予定です。
多忙の折、具体的にお答えいただき、感謝申し上げます。ありがとうございました。
まとめ

能代市の読書教育は、小中学校、高校、そして市立図書館がそれぞれ良い関係性で成り立っている。これは、読書教育を大切にし、尽力されてきた人々によって築き上げられた歴史そのもので、読書のイーハトーブ(理想郷)でもある。
取材後記
文部科学省は9月28日、今年度の全国学力調査結果を公表した。秋田県はすべての調査科目で全国トップ5に入っている。しかも、常にトップクラスを維持し続けている。すばらしいことである。当日の朝日新聞は、”今まで低迷していた各県の取り組みが定着し、上位県との差が少なくなってきた。上位県である秋田や福井などの優れた取り組みを各県が採り入れ、全体向上につながっている。との文部科学省の説明”を報じている。取材を重ね、各地を訪問していると確かにうなずける。どの地域でも教育に熱心である。しかしながら、ここ能代市の教育関係者は”普通のこと”のように考え、行動し、日々、子どもたちに接している。普段からの肩ひじ張らない”教育の輪”が子供たちの成長を支えている。
(菅原)