髙橋一枝 氏

協働から共創へ、進化から深化へ、

髙橋館長

髙橋 一枝 氏(たかはし かずえ)

山形県社会教育委員(2015年4月~2022年3月)
山形県図書館協議会委員(2020年4月~)
山形県図書館協会 副会長(2020年~)

2002年、3人の子育てが一段落した時に図書館司書・司書教諭・教員免許取得者などの資格を生かし、新庄市立図書館司書として、勤務し20年、現在に至る。2007年より、図書館が業務委託になることで、市民協働の図書館を目指した委託団体の設立メンバーとして、団体の事務局の実務も担う。

2009年には図書館を基盤としながらまちづくりや子育て支援、学校図書館との連携も視野にいれた社団法人の設立も行った。2012年4月に館長職に就任してからは、小さな図書館から大きく発信しようと、マルシェや市のイベントなどへ出向く出前図書館事業や、各課との連携、まちづくり、ブックスタート事業などを取り組み、暮らしの中の身近な図書館づくりもメンバーと一緒におこなった。2017年4月より高校生の地域課題解決プログラム「新庄・最上ジモト大学」事業を団体で受託。2020年に同市内雪の里情報館管理運営事業も指定管理し、管理運営を軌道に乗せるため館長として1年間就任した。2022年図書館長として復職し、現在に至る。2023年4月から県立新庄病院患者・医局図書室の開室の管理と実務を担当する。

【事例発表】
平成20年度 文科省主催全国図書館司書専門講座
平成28年度 北日本図書館連盟協議会山形県図書館研究集会 
平成29年度 全国図書館研究集会(サービス部門 総合・経営部門)北日本図書館連連盟研究協議会
平成30年度 山形県退職公務員連盟新庄最上支部講演
第21回全国図書館総合展 市民団体指定管理フォーラム 
新庄アジサイロータリークラブ2月例会「本と人をつなげる図書館」講話
令和3年度 第42回 山形県図書館研究大会 

はじめに

平成14年、同じ年度に新庄市立図書館に勤務した郷野目司書とは、図書館の変革期、過渡期をともに邁進してきた同士であり、お互いをリスペクトし励ましあってきました。私がこのように、飛び回り、営業(?!)に出かけることができるのは、図書館を守りきめ細やかで安定のサービスを提供している、郷野目司書率いるキャリアある専門職のチーム力であると、日々感謝の気持ちでいっぱいです。東北山形県の過疎地域新庄市人口3万6000人、小さなまちの小さな図書館が、大きな夢を持って、東奔西走の日々。そんな新庄市立図書館の指定管理事業は、全国でも注目された成功事例として、何回も事例発表の機会をいただきました。

とらいあによる図書館指定管理事業の特色

① 協働から共創へ

★直木賞作家今村翔吾先生が塾長に!中学高校生の文学塾より、図書館が得られたことは??
今村翔吾文学塾は、新庄市市制施行70周年記念市民提案事業として令和元年7月に開塾。新庄藩江戸火消の活躍を描いた時代小説『羽州ぼろ鳶組』シリーズを執筆している、小説家であり、後に直木賞作家となる今村翔吾先生を塾長にお迎えし、新庄市内に在学・在住している中学高校生を対象に行われた本格的な小説家養成講座となりました。

3回講座で書き上げた中高生の作品はプロの編集者が校正をおこない、今村先生のアドバイスもありと、なんともぜいたく、最後は一冊のアンソロジー集が完成、修了証も授与されました。この講座の目的は図書館の読書活動の推進ばかりでなく 新庄の未来あるリーダーを育成→「聞く」「読む」(インプット)から、自分で創造して「書く」ことにつなげ、「書く」こと(アウトプット)を通して新庄の次世代のキーマンとしての活躍を期待、小説を執筆し、出版編集を体験することでのキャリアを学ぶ機会を図書館で提供できたこと、そして 文芸(言語を媒体とした芸術)のまち新庄としてPRし、まちおこしをおこなっていく方向を示すこと、新たな価値づけをすることで、人財育成やまちおこしにもつながったかと思います。

それから今村先生とのプロジェクトは多様なジャンルに発展し、今後も先生と新庄市、そして図書館との共創もまさに前進しています。

② 進化から深化へ

★図書館の「クラゲ」のヒミツ!?
プラネタリウムのボランティア養成講座でお世話になった古くから知り合いの理科の先生が今度は上級クラゲマイスターとなり、図書館でクラゲを飼育しないか?とのお話をいただきました。職員がクラゲマイスターを取得しクラゲの飼育補助ができるようにとのことが条件でした。

知的好奇心がいっぱいの司書3名(私も含めて)が休みの日に、山形県鶴岡市の日本一のクラゲ水族館にクラゲを勉強しにいき、山形の芋煮会でのクラゲ展示ボランティアや水族館での説明ガイドなどの活動を数回重ね、晴れてマイスターの取得となりました。

クラゲ展示から10年、このように続けることができたのは、クラゲ先生のパッションと、マイスター司書のパッションの賜物!クラゲ図書館として校外学習にきた子どもたちへの恒例の案内はもちろん、図書の展示やクラゲ講座など、進化し続けるとともに、深化(探究)を重ねています。

③ 『人に、まちに、学び場を。日々に豊かさを。』(とらいあタグライン)

「マルシェ出前図書館」「市立図書館&学校図書館蔵書検索一元化事業」「新庄デジタルアーカイブ事業」「学校図書館アドバイザー支援事業」などまだまだ語りつくせないさまざまな事業を企画実施してきました。今後も図書館としての高いポテンシャルを活かし、チーム図書館、理事役員を含む28名チームとらいあが一丸となって、学びのネットワークづくりに取り組んでいきたいと思います。

このような機会をいただいた、りぶしる様、そしてバトンを渡してくれた郷野目司書に深く深く感謝申し上げます。ありがとうございました。

最後にとらいあステートメントの一文をご紹介いたします。

学びを通して、皆さんが何かにトライしようとするとき、勇気を出して一歩踏み出そうとするとき背中を押せる味方でいたいし、肩をかせる仲間でありたい…