Value Books
実店舗の価値
古本を買えるカフェスペース店舗「NABO」
インターネットでの売買が中心とのことですが、店舗も手掛けていらっしゃいますね。こちらの店舗は、古本屋というよりコミュニケーションスペースのような雰囲気があります。
中村:
うちは200万冊ある在庫から店舗における本を選べます。多様なジャンルの中からセレクトできるので、新刊の本屋とも、古本屋とも違う、ユニークな棚づくりができていると思います。席でコーヒーを飲みながら読んでも良いし、気に入ったらそのまま買ってもらっても良い。店内に置く本のセレクトは、店舗スタッフに任せていますが、全体としては、”町の人たちの生活を豊かに”というイメージがあります。1階は生活をテーマにしていて、料理の本、園芸の本、あとは長野県なのでアウトドアの本も置いています。2階は、文芸書が中心です。 最初の頃は、3か月ごとにお店の本をガラッと入れ替えるということをやっていました。これはちょっと大変なので、最近はそんなに頻繁にはやっていなくて、ちょこちょこと手を入れている感じです。
原:
その他の特徴としては、毎日のイベントがあります。僕たち主体のイベントだけではなく、町の人たちにもイベントスペースとして使ってもらっています。複数のイベントが2つ3つ同じ日に行われることもあります。
敷居の高さを払拭した親しみやすい雰囲気は、図書館も学びたい部分です。 最近は、図書館員も書店やこういったブックスペースに行って展示方法を学んだりしています。
中村:
声をかけていただいて見学にいらっしゃった図書館さんもいますし、個人で来ているお客様が、話してみたら図書館で働いている司書の方だった、ということもありますよ。

イベントの予定がびっしり。

アウトレット店舗「Valuebooks Lab」
中村:
実は、もう一軒店舗があります。ネット上では値が付かず、ほうっておけば捨てられてしまうような本の中から、まだまだきれいで読める本や、実店舗でなら売れそうな本など、処分するには忍びない本を集めた古本のアウトレットのような店舗です。
原:
週末になるとカラのスーツケースを持ってきて、まとめ買いされるお客さまもいらっしゃいます。宝探し感覚で楽しんでいただいています。 アウトレット店舗は、元々「Library Lab」という名称でした。人が本と出会う場所の多くが、本屋か、図書館だということに気付き、「図書館」を自分たちで運営してみようとはじめたのが「Library Lab」でした。実は「NABO」も同じく書店運営の実践の場として、まずは自分たちで書店をやってみようということで始めたのですが、やっていく中で、少しずつ役割が変わってきています。
倉庫には日々約2万冊の本が届くので、大体の流行や、逆にどんな本が処分されつつあるのかがよく分かります。 何年経っても流通する本がある一方で、ブームが終わると分かりやすく一斉に処分されてしまう本もあります。そうした本は大量に倉庫保管する理由が立たなくなってしまうので、それを毎日毎日処分していくのですが、それは本当にショッキングな光景で、見ていて辛いものがあります。だから、何とかこういう場所を作ったりして、少しでも次の読み手に届けられたら良いな、と思っています。
本としての価値のまま届けていらっしゃるのですね。より多くの本を届ける活動としては図書館も多読として取り組んでいます。この店舗は、本に触れる場の提供という側面からも、社会貢献としての意義がありますね。

欠巻補充のバラ購入向けに販売

Value Booksの倉庫
最大面積を誇る上田原倉庫

Amazonのデータをベースに、自社システムで算出している
原:
上田原倉庫は、元々ホームセンターだった建物を活用しています。バリューブックスには4つの倉庫がありますが、ここが最大の倉庫になります。 端から搬入口、査定用のカウンター、査定後の一次保管場所、出品用のカウンター、在庫棚のエリア、販売する本の搬出口と、動線に合わせたレイアウトになっています。棚は、左上寄せで一番古く買い取った本になっています。もしこれを分類して棚に保管しようとしたら大変なことになりますね。
いわゆる受入順ですね。棚同士の間隔は、人がひとりやっと入れるくらい。図書館の半分くらいの間隔ですね。

原:
発送エリアでは日々、100区分と呼ばれる配送先エリアごとの区分に仕分けをしてから、倉庫がある上田市から運送業者の拠点がある長野市まで自分たちで運搬しています。仕分けはもともと運送業者側で行っている作業ですが、運送業者は私たちにとって大切なパートナーですから、彼らの負担を少しでも軽減するために、「やれることはこちらでやろう」という思いで、予め仕分けしてから持ち込むようにしています。 当然集荷の時間までに出さないといけないので、倉庫内は昼間の方が慌ただしくなります。人の手を介した作業が多く、とにかく人手が必要です。数年前までは、想定外の量の本が届いて業務が滞ったりすると、社長も含め社員総出で作業していたそうです。家族も巻き込んで、とにかく大変だったようです。今は、全従業員がどうやったら効率よく作業できるかを自ら考え、日々改善を行っています。


持込む前に100区分に仕分けるためのコンテナ
お客様とのコミュニケーションが、モチベーションにつながる

納品書にブックレビューを掲載
原:
バリューブックスで本を買っていただいたお客様に、「納品書のウラ書き」という名のブックレビューを同梱しています。納品書の裏が真っ白でもったいないと思い、はじめました。このレビューが次の一冊につながることを期待しています。
結構人気があって、ツイッターで話題になったりすることもあります。実はそのレビューが新刊書だったりして、うちで取り扱いがない本のときもあるんです。ただ、僕たちが扱いたいのは新しいも古いも関係なく、あくまでも本なので、このレビューをきっかけに本を読んでくれる人が増えるといいな、と思っています。
壁にAmazonレビューをプリントアウトして貼っていますね。

原:
単純にお金を稼ぐだけの仕事から、どうやったらそれ以上のモノを得られるか、ここで働くことが楽しくなるか、ということにつながって、そういったことが結果的に作業効率向上にもつながっていくんじゃないかと思います。
Value Books概要

企業概要
会社名:株式会社バリューブックス
設立:2007年7月
売上:22億8000万円(2018年6月度)
商品:152万点(2018年6月末時点)
年間販売数:349万点(2018年6月度)
従業員:386名(2018年6月末時点)
資本金:900万円
代表取締役:中村大樹
所在地:長野県上田市
企業サイト:https://corporate.valuebooks.jp/